高校3年生でeスポーツを日本に根付かせるため会社を創業|吉村信平さん

2024年にはオリンピックの正式競技として採用される可能性もあるといわれている「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」を日本に根付かせ、ゲーマーが生きやすい世界をつくりたい。そう語るのは、株式会社RATEL代表 吉村信平さんです。吉村さんが創業するまでに至った経緯や、eスポーツの可能性などについてお聞きしました。

吉村 信平
2000年生まれ。株式会社RATEL代表取締役社長。高校3年生時、福岡市にて「eスポーツ」市場の活性化を目指し、eスポーツコミュニティRATELを法人化。eスポーツチームのブランド事業を展開している他、来年のリリースに向け新サービス「VOLBOX」を開発中。


Q. 起業を志したきっかけは?

高校生の頃から「スプラトゥーン」というゲームが大好きで、ゲーム仲間と「オンラインだけでなく、オフラインの大会(※)に参加したい」という話になったんです。

しかし、オフラインの大会が行われているのは東京ばかり。九州にいた僕たちには参加することができませんでした。「じゃあ、自分たちで大会を開こう」という結論に至ったのですが、会場を借りる費用、充実したネット環境を会場に用意する費用など、とにかくお金がかかることがわかりました。僕は小さい頃からラグビーをしていたので「スポンサーがお金を出してもらえれば大きな大会を開くことができる」ということをなんとなく知っていて、「福岡 お金持ち」「福岡 投資」など手当たり次第にお金を貸してくれそうな人を探しました(笑)

そして、『F Ventures(福岡を拠点にスタートアップを支援する投資会社)』という会社に行きつき、代表の両角将太(もろずみしょうた)さんに連絡を取ったことが始まりでした。

※オフライン大会…リアルの場でゲーマーが集い対戦し、ゲームの技術を競うイベント

Q. その後、どのようにして起業することになったのですか?

それから両角さんにお会いすることができ、自分たちのビジョンを話したところ、「起業」という手段があるということを教えていただきました。

その後、F Venturesで一年間インターンをすることになり「決算書の読み方」「資金調達の仕方」「株の勉強」「国内外のスタートアップ企業の分析」など様々な経験をさせていただき、自分も運営に携わっていた登竜門(福岡の学生向けスタートアップイベント)で行ったプレゼンが評価され、3社からの出資が決まり起業に至ったという流れです。


Q. 株式会社RATELのミッションとは?

僕たちのミッションは「ゲーマーのために生き、全人類の幸福度を最大化する」ことです。これから人類が働かなくても良い時代に突入し、余暇に使う時間やゲームに費やす時間が増えていきます。

つまり、ゲーマーのためのサービスをつくり続けることで、ゲームをつくる人たち、使う人たち、見る人たちの幸福度を上げることができると考えています。


Q. 今目指している成果とはどのようなものでしょうか?

eスポーツイベントや大会の運営者に提供する大会管理ツール「VOLBOX」というサービスをつくっています。現状、運営者はゲームの大会を開催するために、集客や収支の管理、選手の過去の戦歴の管理など、ものすごく労力を使っているんです。

そこで、運営者が売り上げを出すことにコミットできる環境を整え、選手により多くの賞金が届くようにするためのツールが「VOLBOX」です。遅くとも、2月末にはこのサービスをリリースするのが今目指している成果です。


Q. 株式会社RATELの一番の顧客とは誰でしょうか?

もちろんゲーマーの人たちです。日本では、企業側もユーザー側も「ゲームは単なる遊び」という認識が大多数ですよね。でも、eスポーツが社会的に認知されている韓国や中国、ヨーロッパの国々では、一人のeスポーツ選手に、戦略を立てるコーチやプロのアナリストが専属でついたり、大会で優勝した選手は大会で莫大な賞金を獲得できたりと「ゲーマーがプロ選手として食べていける」地盤が整っています。

一方日本では、まだまだゲームの地位が低く、(賭博規制と景品表示法などの)法律による規制が厳しいという理由から強いゲーマーが育ちづらいという現状なのです。そういった課題を打破し、ゲーマーが生きやすい世界をつくりたいという想いがあります。


Q. 起業を目指す中高生に伝えたいことは?

日本で最初の株式会社は、坂本龍馬がつくった会社と言われています(編集者注:長崎の亀山で坂本龍馬が結成した「亀山社中」は日本最初の商社とされている)。それが後の明治維新に繋がり、近代日本の幕開けに大きな功績を残したわけです。

株式会社をつくるということは、売り上げを出し、会社を支えてくれている株主にお金を還元することが条件です。「企業の価値を上げること」や「資金調達をすること」自体を目的にしてしまうと、株式会社の本質を見失うことになります。法人をつくるのであれば、どのように売り上げを生み出すかを考えることが大切だと思います。


【参考】
株式会社RATEL

写真/村井 時生