17歳の時に福井でデザインとインフルエンサーの会社を創業|小原涼さん

「高校生が運営し、自分たちで考え、自分たちで行動し、自分たちで課題解決する」。そんな環境を目指し、自身が高校生の頃にBEAUを立ち上げた小原涼さん。小原さんにとって「教育」とは何か、そして地方の学生の課題と将来の展望について伺いました。

小原 涼
2000年9月19日生まれ。株式会社RUProduction代表取締役社長。一般社団法人BEAU代表理事。デザイナー。高校生対象の次世代教育プロジェクト『BEAU LABO』を通して地方にいても高校生が主体的に学べる環境を創出している。


Q. 起業を志したきっかけは何でしょうか?

2010年、僕が10歳の頃、両親の都合で中国の上海に3年弱くらい住んでいました。

中国に移り住むことが決まったとき、「中国=発展途上国」という印象がまだ強かったため、「広い砂漠の中、学校に通うのか‥‥」と心配していました(笑)

しかし、2010年といえば、中国が初めて、日本のGDPを上回った年であり、上海万博が行われた年でもあります。当時、ものすごい数の海外企業が上海に進出し、経済発展は本当に目覚ましいものでした。「スーパートール」という超高層ビルが立ち並び、スターウォーズの未来都市を連想させるような景色に圧倒され、「僕自身も、経済を担う人になりたい」と強く思うようになったのが起業を志した一番初めのきっかけでした。


Q. それからどのような行動を起こしましたか?

経済や金融の世界に強く興味をもった僕は、「お金や経済のしくみ」について図書館やインターネットで調べ始めました。そして、いてもたってもいられなくなり、当時通っていた上海の学校のクラス内で試しに仮想紙幣を発行してみることにしました(笑)


Q. 仮想紙幣を発行したとはどういうことでしょうか?

「経済ってどういうものなんだろう」ということを学ぶために、A4の紙を使って、Excel(マイクロソフト社の表計算ソフト)で紙幣をつくったんです。そしてその紙幣を流通させるには、「このお金に価値がある」とみんなに信頼してもらう必要がありました。

そのために、まずはみんなの「いらないもの」を集めオークションを行い、その紙幣でしかそれを購入できないようにしたんです。オークションに出品した人は得たお金で他のモノと交換できるようになり、紙幣が徐々に信用され始めました。最終的には給料を支払って紙幣発行の仕事を頼んだり、インフレーションが起きたりと「お金の流通」を体感できた貴重な経験でした。ちなみに、その経験があったからか僕たちのクラスの社会の成績は学年でトップでした(笑)


Q. 新しい行動を起こすときに不安はありましたか?

好奇心の方が強かったため、不安を感じることはありませんでした。直接的に関係があるかは分からないのですが、3歳の頃からレゴブロック(LEGO)で遊ぶのがすごく大好きだったんです。もしかしたら「とりあえずつくってみよう、やってみよう」という姿勢はそういう遊びから培われたのかもしれません。


Q. 実際にどのようにして起業することになったのでしょうか?

(実家の福井に帰国後)「経済や金融のことは大学に行ってから深く学ぼう」と考えていたのですが、当時は椎木里佳さんをはじめ「高校生起業家」が注目されて始めている時期でもありました。高校生でも起業ができることを知った僕は、高校2年生の時にロゴデザインの制作事業を始めました。

そして、自分で事業をやってみたからこそ「地方は都心に比べて(イベントへの参加やプロジェクトへの参画などを)体感できる機会が少ない」「交通の便が悪いため同志を集めるのも難しい」という課題に気がついたんです。


Q. 一般社団法人BEAUとは?

そこで、福井にいても自主的な学びができ、挑戦していける環境を作るために“BEAU(ビュー)”という高校生対象の次世代教育プロジェクトを立ち上げました。

「The best education for all of us(私たちみんなにとって、最高の教育を)」という理念を元に「地域社会に密接に関わりながら主体的に学んでいく学習環境」や「学校の垣根を超えた高校生同士や世代間の交流の機会」を提供しています。


Q. 具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?

具体的には、福井県の高校生に向けて「BEAU LABO」という小人数制の学習プログラムを提供しています。

今期は【国際問題】【地域経済・まちづくり】【メディアコミュニケーション】という3つの分野でプログラムを実施します。地域のパートナー企業とサポートしていただきながらフィールドワークやグループディスカッション、勉強会・イベント・プログラムなどの主催やプロジェクトの実行などを通して主体的にとことん学ぶことができます。いわば「実践を通して知的好奇心を追求できる場所」です。

BEAUが行っている学習プログラム「BEAU LABO」

Q. BEAUのプログラムにはどのような価値がありますか?

多くの高校生にとって、自分のやりたいことや夢を実現するための手段の多くは「好きな分野で就職するために、大学に進学すること」だと思います。もちろんそれも間違いではないのですが、受験勉強に多くの時間を割くよりも、実際にその分野に足を踏み入れてみて、自分の興味をより明確にすることが大切だと考えています。

例えば、医学に興味がある人が大学に進学するために様々な受験科目を一生懸命勉強するとします。そして、実際に医学部に行って「想像していたものと違う‥‥」と思ったとしてもそれまでの時間を取り戻すことはできませんよね。「興味のある学問は高校生からでも学び始められること」を知れるのは、多くの高校生にとって大きな価値だと考えています。


Q. BEAUの今後の計画を教えてください。

「地方は都心に比べて体感情報が少ない」という課題は、国内の他の地方にも共通するものだと考えています。だからこそ、まずはこのプログラムを通して福井県を舞台に5年ほどかけて活動したいと考えています。

そして10年、20年先には、世界中の高校生の教育問題について親身になって関わる団体にしていきたいです。それは、彼らを教育することで自分たちも学ぶことができるからです。世界から学んで日本を舞台に活動していく。日本人じゃなければ自分の国や自分の関心のある地域を舞台に活動していく。そんな未来を目指しています。


Q. やりたいことに近づくために何をすれば良いか分からないという人に何かメッセージはありますか?

興味があることを、まずは “20時間” やってみるといいと思います。それが続かなかったり、誰かに否定されたくらいでやめてしまうのであれば、今はそれにそこまで興味がないということなので別のことをやりましょう。

例えば、心理学に興味があるなら、心理学の本を20冊借りてきて読む、プログラミングに興味があるなら、実際にパソコンを使って一つゲームをつくってみるなどです。僕の場合は一日4時間 × 5日で20時間をつくり、それが自分のやりたいことなのか、そうではないのかを知ること指標にしています。その習慣がつくと「興味はあったけど実はやりたくないことだった」ということに気づくまでにたくさんの時間を使わなくても判断できるのでおすすめです。


【関連リンク】
note|Inside BEAU
Twitter|Ryo Kohara(小原 涼)
Facebook|Ryo Kohara